□ 渉外離婚(国際離婚)と国籍
結婚・離婚と「国籍」は関係ありません。国籍が違う者同士が結婚しても、離婚しても、国籍は変わりません。
□ 外国人と結婚した日本人が離婚する手続き
日本人については離婚の事実を戸籍に記載する必要があり、本籍地に「離婚届」を提出しなければなりません。戸籍の移動はありません。
結婚して外国人の姓を名乗っていた者が、離婚し旧姓に戻るには、離婚から3か月以内に、「外国人との離婚による氏の変更届」を提出する必要があります。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 準拠法とは
準拠法とは、離婚に適用される法律が夫の本国法か、妻の本国法か、住んでいる国の法律か、ということです。
日本では、①本国法が共通のときはその本国法、②本国法が違うときは共通の常居所の法、③共通の常居所もないときは夫婦に密接な関係のある地の法と定められています。ただし、夫婦の一方が日本に常居所があるときは日本法と定められています。
2. 結婚、離婚と国籍
国籍が違う者同士が結婚しても、離婚しても、国籍は変わりません。
3. 外国人と結婚した日本人が離婚するときの手続き
(1) 「離婚届」の提出
日本人については離婚の事実を戸籍に記載する必要があり、本籍地に「離婚届」を提出しなければなりません。
戸籍の移動はありません。戸籍の身分事項欄の「婚姻」の記載が「離婚」に変わります。
(2) 「離婚届」を提出するときの必要書類
本籍地でない市区町村に届け出る場合には、次のものが必要です。
① 日本人が届出人の場合は、戸籍謄本、住民票
② 外国人が届出人の場合は、パスポートなど本人を確認する書類
4. 渉外離婚後の日本人の姓はどうなるか
(1) 国籍が違う者同士が結婚し、外国人の姓を名乗っていた場合
渉外離婚し旧姓に戻るには、離婚から3か月以内に、「外国人との離婚による氏の変更届」を提出する必要があります。
(2) 国籍が違う者同士が結婚し、結婚前の日本人の姓を名乗っていた場合は、渉外離婚しても日本人の姓は変わりません。
5. こどもの国籍は、その国の国籍取得条件に従います
① 出生地主義;生まれた国の国籍(アメリカ、カナダ・・・)
② 血統主義;父母のどちらかの国籍(日本、中国、イタリア・・・)
6. 国際裁判管轄
夫婦双方が日本に住んでいれば、国籍に関係なく日本に国際裁判管轄権があります。ただし、外国にも認められる場合があります。
日本に住んでいる人が、「外国に住んでいる人を訴える」場合は、日本に国際裁判管轄権はありません。
国際結婚と戸籍関係の届け出
1. 日本人が日本で外国人と結婚するときの手続き
(1) 結婚相手が「婚姻要件具備証明書」を取得します
婚姻要件具備証明書とは、結婚相手(外国籍)が、相手国の法律で結婚できる条件を満たしていることを証明する公的文書です。
婚姻要件具備証明書は、相手の国の大使館もしくは総領事館などから発行してもらいます。
(2) 「婚姻届」を提出します
戸籍に結婚したことが記載されます。結婚相手が帰化して日本国籍を持っていれば、日本の戸籍に入ります。
2. 日本人が外国で外国人と結婚するときの手続き
(1) 「婚姻要件具備証明書」を取得します
① 本籍地の役場から婚姻要件具備証明書、戸籍謄本を郵送で取り寄せます。(婚姻要件具備証明書は日本大使館から発行してもらうこともできます)
(2) 「婚姻届」を提出します
日本大使館に、婚姻届、婚姻要件具備証明書、戸籍謄本を提出します。
戸籍に結婚したことが記載されます。結婚相手が帰化して日本国籍を持っていれば、日本の戸籍に入ります。