□ 生活は共にしていても結婚する意思がない場合は「同棲」です。生活を共にし結婚の意思はあるが婚姻届を出していない場合が「内縁関係(事実婚)」です。
□ 内縁関係(事実婚)の解消は財産分与、養育費の請求ができます。( 合意による内縁関係(事実婚)の解消に際しても請求が可能です。)
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 内縁関係(事実婚)における法律上の保護と義務
内縁関係(事実婚)として法的に婚姻に準じた扱いを受けるためには、①結婚する意思があり、②これに基づいた共同生活をしていることが必要です。
結婚する意思の存在については、結婚の儀式の有無や親族・知人ら周囲の関係者の認識、共同生活の内容・継続状態などの客観的事情によって判断されます。
内縁関係(事実婚)にある者は、婚姻に準ずる関係とみなされ、一定の法的保護が与えられていますが、相続権がないなど原則として婚姻としての法律の保護を受けることはできません。
内縁関係(事実婚)も同居、協力、扶助、生活費の分担、貞操などの義務が生じます。
2. 内縁関係の解消と財産分与、慰謝料、養育費の請求
内縁関係にある者は、婚姻関係に準じた法的保護を受けることができ、相手方の一方的な内縁関係解消に際しては、離婚の場合と同様、財産分与の請求、慰謝料の請求、養育費の請求ができます。
また、裁判例では、一方的解消か合意による解消かにかかわらず、離婚の場合と同様、財産分与の請求を認めています。(大阪高決平成23.11.15)
財産分与の請求は民法768条2項の類推適用により、内縁解消から2年の除斥期間にかかります。
相手方の死亡による内縁関係の終了における事実上の「相続」に関しては、内縁の夫婦間では、一方が死亡した場合には、財産分与の規定(民法768条)は類推適用することはできないとしています(最判平成12.3.10)
(出典:第一東京弁護士会人権擁護委員会[編](2016)『離婚を巡る相談100問10答 第二次改定版』ぎょうせい.55頁)
3. 内縁関係の解消に対する損害賠償請求等
一方的に破棄されたときは、不当破棄に対する損害賠償も認められます。
内縁関係の解消が相手の不貞行為が原因のときは、損害賠償を請求できます。