複数の包括遺贈をする遺言があり、その包括遺贈の一部が受遺者の死亡等により失効した場合、その失効した包括遺贈の帰属先はどうなるのであろうか?
その失効した包括遺贈は、本来の相続人にのみ帰属するのか、それとも生存している包括受遺者を含む「相続人」に帰属するのか。
~民法995条本文の「相続人」に包括受遺者は含まれるか~
複数の包括遺贈をする遺言があり、その包括遺贈の一部が受遺者の死亡等により失効した場合、その失効した包括遺贈の帰属先はどうなるのであろうか?このことに関し、民法990条(包括受遺者の権利義務)で、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する、とされていることから、民法995条(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)本文の「相続人」には包括受遺者が含まれるか否かが問題となる(言い換えると、その失効した包括遺贈は、本来の相続人にのみ帰属するのか、それとも生存している包括受遺者を含む「相続人」に帰属するのかが問題となる。)。
判例(令和5年5月19日最高裁第2小法廷判決)
民法990条(包括受遺者の権利義務)は「包括受遺者」は相続人と同一の権利義務を有すると定めているものの、包括受遺者は「相続人」ではない。
民法995条(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)は、効力を失った包括受遺者が受けるべきであったものが「相続人」と、効力を失った包括受遺者以外の包括受遺者とのいずれに帰属するかが問題となる場面において、これが「相続人」に帰属する旨を定めた規定であり、包括受遺者はこの「相続人」には含まれないと解される。
そうすると、複数の包括遺贈があり、そのうちの一つが失効した場合には、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、他の包括受遺者には帰属せず、相続人に帰属すると解される。
民法990条(包括受遺者の権利義務)
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
民法995条(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
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