□ 遺言代用信託は遺産承継を遺言の代わりに信託契約で行う信託です。
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埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
信託契約書
第1条 信託の目的
委託者〇〇〇〇(以下「甲」という。)は、受託者〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)(以下「乙」という。)に、甲の有する第2条記載の預金を信託する。
乙はこれを管理運用し、甲の妻〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)(以下「丙」という。)の生活資金、医療費等の給付を行う。
第2条 信託財産
別紙記載の預金を信託財産として管理運用及び処分を行うものとする。
第3条 信託の期間
甲の死亡時から丙の死亡もしくは信託財産の消滅までとしする。
第4条 信託財産の給付方法
乙は、丙に対し甲の死亡後、毎月、信託財産から、乙が相当と認める生活費を丙に手渡し、または債権者に支払うものとする。
第5条 管理に必要な事項
(1) 信託財産については、信託に必要な換金等を行い、又は名義変更等を行うこととする。
(2) 信託財産の金融機関への預金等、保存行為及び管理運用に必要な措置は、乙がこれを行うものとする。
(3) 乙は、毎年△月末日現在の信託財産の内容を丙に報告するものとする。
第6条 信託終了時の残余財産の帰属権者
残余の信託財産については、乙に帰属させる。
本契約を証するため、本契約書を2通作成し、各当事者署名押印のうえ、各1通を保有する。
令和 年 月 日
委託者(甲) 住所
氏名 印
受託者(乙) 住所
氏名 印
ここがポイント
□ 信託の目的
信託の目的条項は、信託財産の管理・運用方法、受益者に与える利益の内容等の基本的な基準となるものです。
□ 受託者(お世話をお願いする相手)
受託者には、自分の子どもや兄弟姉妹、甥・姪など、親族の中から堅実で信頼できる人を選任することをおすすめします。(第三者に依頼することもできます。 )受託者と信託内容について話し合い、確認しておく必要があります。
(受託者の不適格事由 )
①成年被後見人、被保佐人
②破産手続き開始決定を受けた者(信託行為に別段の定めがあるときを除く)
□ 信託の登記
登記をしなければその権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記をしないと、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができません。
□ 信託財産(預ける財産)
遺言信託(遺言による信託)の信託財産(預ける財産)としては、不動産、金融資産などがあります。
□ 信託事務の処理の委託
信託契約で信託事務の処理を第三者に委託する旨又は委託することができる旨の定めをすれば、受託者は、信託事務の処理を第三者に委託することができます。
□ 受益者
受益者としては、認知症になった配偶者、障害のある子、後妻、内縁の妻などが考えられます。
□ 遺言代用信託(遺言の代用としてする信託契約)活用上の注意点
■ 遺言代用信託(遺言の代用としてする信託契約)は、信託契約で受益者を変更しない旨定めても、委託者は受益者を変更できます。
■ 遺言代用信託(遺言の代用としてする信託契約)は、遺留分に関する規定が適用されます。
本文例はあくまでも一例です。遺言者のご希望はもとより、推定相続人や遺贈したい人の状況、相続財産の状況などによって遺言文は違ってきます。
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