遺言書の検認について教えてください。

□  自筆証書遺言・秘密証書遺言は、不動産の所有権移転登記手続き、預貯金の相続(解約・名義変更)に使うためには、「検認済証明書(または検認調書)」が必要です。 

 

□ 「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の保管者又は発見者は、遅滞なく、家庭裁判所に、遺言書の検認の申し立てをしなければなりません(うっかり開封してしまっても、遺言書は無効にはなりません)。

注意事 項 遺言書の保管等に関する法律が成立し(30.7.13公布)、法務局に自筆証書遺言を保管する制度が創設されました。この制度を使った場合、自筆証書遺言の「検認」は必要なくなります(施行:令和2年7月10日)

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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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ポイント 関連情報

遺言の効力

1. 遺言書の検認とは

 

 遺言書の検認とは、家庭裁判所が、遺言書が法律に定める「遺言の方式に合ったものである」ことを確認するとともに、自筆証書遺言・秘密証書遺言が偽造もしくは変造、毀損されていないことを証明するための検証、証拠保全手続きです。 公正証書遺言は検認は不要です。

 遺言書の検認は遺言の効力を確定するものではありません。   

 

2. 遺言書の開封

 

 自筆証書遺言及び秘密証書遺言の開封と検認は家庭裁判所が同時に行います。 

 封印してある「自筆証書遺言」の保管者又は「発見者」は、たとえ相続人全員の目前であっても、勝手に開封してはいけません。必ず家庭裁判所に持参して、相続人又は相続人の代理人の立会いのもとで開封してもらわなければなりません。

 ただし、うっかり開封してしまった場合も遺言書は無効にはなりません。そのまま家庭裁判所に持っていき検認してもらいましょう。  

 

3. 遺言書の検認の流れ

 

STEP 1 検認の申し立て

 

□ 申し立て人は自筆証書遺言・秘密証書遺言の保管者または「発見者」です。(相続人以外の人も行うことができます)

 

□ 申し立て先は遺言者の「最後の住所地」を管轄する家庭裁判所です。検認の申し立ては相続開始後すみやかにしなければなりません。

 

□ 申し立てに必要な費用は、遺言書1通につき、収入印紙800円です。ほかに、連絡用郵便切手@82×10枚が必要です。

 

□ 申し立てに必要な書類

 申し立ては、家庭裁判所に置いてある「検認の申立書」(裁判所所定の様式)に記入のうえ、下記の書類を添付して提出します。

 

① 申立人・相続人全員の戸籍謄本各1通

※遺言者の子及びその代襲相続人で亡くなっている人がいる場合、その子及びその代襲相続人の出生時から死亡するまでのすべての戸籍謄本 1通

② 遺言者の出生時から死亡するまでのすべての戸籍謄本 1通

③ 相続人以外で受贈を受けた人があるときはその戸籍謄本 1通

④ 遺言書(開封されている場合は「遺言書の写し」)

⑤ 遺言者の筆跡と照合するための日記や手紙など

 

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STEP 2 裁判所の検認手続  

 

□ 検認を行う期日の通知

・ 裁判所は遺言書の検認を行う期日を決めて、相続人、受遺者、受贈者等利害関係者に通知します。

 

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□ 欠席の通知

・ 裁判所から期日通知書が届いたら、都合が悪いため欠席するときは欠席の通知を出します。ただし、申立人は必ず出席しなければなりません。

 

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□ 検認当日

・ 申立人は、遺言書の写しを提出してある場合は、遺言書の実物を持参し出席します。

・ 相続人(又は相続人の代理人)の立会いのもとで遺言書を開封します。 

・ 裁判所は検認の結果を記録し、検認調書を作成します。申出があれば「検認済証明書」を作成します。

 

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 裁判所は、遺言書の検認がされたときは、立ち会わなかった申立人、相続人、受遺者等の利害関係人にそのことを通知します。 

 

4. 検認と遺言の効力

 

 遺言書の検認は遺言の効力には直接関係はありません。効力を争う相続人は、別途、遺言無効確認の調停や訴訟をすることができます。

 

 自筆証書遺言・秘密証書遺言を「不動産の所有権移転登記」手続き、「預貯金等の解約・名義変更」に使うためには「検認済証明書」が必要です。 

 

5. 遺言書の検認に要する期間

 

 遺言書の検認の申し立てから手続きが完了するまで通常1~1.5か月間を要します。 

 

6. 遺言書の検認と罰則

 

 封をしてある遺言書を勝手に開封した場合には、5万円以下の過料に処せられることがあります。 

 遺言の保管者や発見者は、遺言の検認手続を怠った場合、過料に処せられることがあります。

 

注意事 項  遺言書を変造もしくは破棄した者は無条件で 》相続欠格者 となります。

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※ 検認申立書の作成は、行政書士はできません。申立書の作成、裁判所への提出は申立人ご本人にやっていただくことになります。