□ 内縁の配偶者間で相続は認められません。内縁の配偶者に遺産を与えるには、遺言で遺贈する必要があります。
□ 内縁の妻は、相続人が誰もいない場合、特別縁故者として認められれば財産を受け取ることができます。ただし、必ず認められるとは限りません。遺言で「遺贈」すれば確実です。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 内縁の配偶者間の「相続」
内縁の配偶者間での相続は認められません。内縁の配偶者に遺産をあげるには、遺言を書き「遺贈」する必要があります。
内縁の夫婦間では、一方が死亡した場合には、財産分与の規定(民法768条)は類推適用しません(最判平成12.3.10)
遺産が不動産の場合は、生前に、夫婦共有持分で登記しておき、遺言で互いの持ち分を遺贈し合う方法があります。ただし、法定相続人から遺留分侵害額請求をされるおそれがあります。
2. 内縁の配偶者死亡後の「相続」
(1) 内縁の配偶者に、実子など相続人がいる場合
① 借家権
内縁の配偶者の相続人から借家の明け渡しを求めてきても、相続人に借家を利用する必要性が認められないときは、権利の濫用として拒否することができます。
② 不動産、預貯金などの財産
内縁の配偶者の財産形成に寄与・貢献した場合は、相続人に対し、提供した資金に見合った不動産、預貯金などの分割請求ができます。
(2) 内縁の配偶者に相続人がいない場合
① 借家権
内縁の配偶者に相続人がいないときは、借家権の継承ができます。(借地借家法36条)
② 不動産、預貯金などの財産
内縁の配偶者は本来の相続人ではありませんが、相続人がおらず、遺言書がない場合は、「特別縁故者」制度(被相続人と特別に縁故のあった方に特別に財産を分け与える制度)により財産を取得することができます。