交通事故損害賠償請求 過失相殺
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埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1.過失相殺とは
□過失相殺とは、交通事故の被害者に損害賠償をするにあたって、被害者にも何らかの落ち度(過失)があった場合は、その落ち度(過失)に応じて、損害賠償額を減額することを言います。
2.過失割合
□交通事故のケースごとの「過失の基本割合」「修正要素ごとの加算または減算割合」については、判例を基に定型化したものが下記の書物として刊行されています。
□具体的に過失割合を算定するにあたっては、この「過失の基本割合」をベースにして、具体的ケースに応じた修正要素ごとの加算または減算割合を加減して算定します。
①「別冊判例タイムズ」(「民事交通訴訟における過失相殺率等の認定基準」)
②「赤い本」(「民事交通訴訟損害賠償額算定基準」)
3.修正要素
(1)歩行者対車
□歩行者(車いす、小児用自転車を含む)の過失が「大きくなる」加算要素
・夜間の歩行
・幹線道路の歩行、横断
・車の直前、直後での横断、佇立(横断中急に立ち止まる)、後退
・ふらふら歩き
・横断禁止場所(規制あり)での横断
□歩行者の過失が「軽くなる」減算要素
・住宅・商店街
・歩行者が児童(だいたい6歳以上13歳未満)、老人(だいたい65歳以上)、身障者
・歩行者が幼児(だいたい6歳未満)
・集団横断中
・車の著しい過失(わき見運転など前方不注意、酒気帯び運転、右左折の時徐行しなかった、ハンドル・ブレーキの不適切操作、15~30㎞/h未満のスピード違反)
・車の重過失(居眠り運転、酒酔い運転、無免許運転、30㎞/h以上のスピード違反など)
・車道と歩道に区別の無い道路
(2)車対車(交差点における右折車と直進車)
・徐行なし
・右折禁止違反
・直近右折
・早回り右折
・大回り右折
・合図なし
・大型車
・既右折
・15㎞以上の速度超過
・30㎞以上の速度超過
・法50条違反の交差点侵入
・その他著しい過失、重過失
4.その他
・一時停止の標識(優先の有無の判断)
・信号機のない横断歩道か(ある場合には信号の色)
・車対車、その時点でのお互いの速度(双方の速度の増減)
・好意同乗・無償同乗
5.通常、過失相殺は慰謝料の他、治療費や休業損害に対しても行われます
6.自賠責保険の場合
□任意保険の場合と違って、各事故ごとの個別的な過失割合は適用されず一律の減額です
■傷害事故の場合
被害者の過失割合 | 0~69% | 70~99% |
自賠責保険の減額率 | 0% | 20% |
■後遺障害又は死亡事故の場合
被害者の過失割合 | 0~69% | 70~79% | 80~89% | 80~99% |
自賠責保険の減額率 |
0% |
20% | 30% | 50% |
□損害賠償額はまず自賠責保険から支払われ、不足分は任意保険から補てんするかたちで支払われます
自賠責保険と任意保険とでは過失の査定方法が異なるため、自賠責保険で満額が支払われた場合でも、任意保険では減額されたり支払われないことがあります。
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