「交通事故後遺障害等級の認定請求の手続き」には二通りの方法があります
① 任意保険会社が、「症状固定前に」後遺障害の認定を求める方法を「事前認定手続」といいます。一般的にはこの方法です。
② 被害者が自身で必要書類を作成して、被害者が自身で直接、自賠責保険会社に後遺障害の認定を求める方法を「後遺障害の認定手続」といいます。後遺障害の認定手続は、治療が終わったときに後遺症が残っている場合、請求をすることができます。
(特長)
■ 自分に有利な医証などが提出できます。
■ 不利な事情を補う文書を作成して提出できます。
■ 認定されると、すぐに自賠責保険分の保険金がでます。
■ 加害者側の任意保険に、主体的に、弁護士基準で損害賠償請求することができます。
加害者側が任意保険に入っていなかった場合は、この「後遺障害の認定手続」しか方法はありません。
6か月治療を受けても症状が残っているときは、後遺障害認定を受けるため「被害者自身」が動く必要があります。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
「後遺障害の認定手続」(自賠責被害者請求)の流れ
1. 「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」(または「自動車損害賠償責任保険歯科後遺障害診断書」を担当医師に作成してもらいます
■ご自身で後遺障害の認定手続(自賠責被害者請求)をする、と決めたら、ケガががある程度回復し症状固定期になっても完治しない(後遺症がある)場合は担当医師に「症状固定」を確認をします。
■「症状固定」の判断がなされた時点で、「「後遺障害診断書」(症状固定時に残っている症状を記載した診断書)を作成してもらいます。
■すべての症状が、治療経過や検査結果とともに具体的に記入されていることが必要です。 下記のチェックボックスの記載を参考にして、後遺障害等級認定を受けやすいように書いていただきます
「事故状況と後遺障害との間に関連性があること」が必要です
■その事故状況ではその後遺障害が残るということが理解できるような提出資料になっているかチェックします。
「病院での診察・治療を定期的にしっかり行えており、各種症状が消失することなく一貫して継続していること」が必要です
■病院での診察・治療を定期的に行っていることが分かる提出資料になっているかチェックします。
■1か月以上の治療中断期間がないかどうかもチェックします。
■毎月の診断書に記載されている傷病名が途中でなくなったり、新たな傷病名が途中から出ていないかチェックします。
■事故からしばらくしてから症状が出たり、途中で症状が消えたりしていないか、診断書をチェックします。
各等級認定の具体的な基準を踏まえた検査資料の添付が必要です
■認定にあったって必要な「症状の裏づけとなる医学的所見」 (「MRIやレントゲンなどの画像所見や各種検査結果」があるかチェックします。
■関節の可動域が制限されている場合は、診断書に正確な角度の計測値が記載されているかチェックします。
■むち打ち症の場合は、詳細な症状を診断書等に記載していただくなどし、通院の継続が必要なことを明らかにします。
後遺障害診断書に「改善する可能性がある」といった記載がなされていないかチェックします
■「後遺障害等級の認定請求」は、症状固定(これ以上治療しても回復しない状態)を待たなければならず、一般には半年(6ヶ月)を経過しないと認められません。
※症状固定とはこれ以上治療しても回復しない状態をいいます。「身体の一部の欠損」はその時点で症状固定となります。「知的障害」や「機能障害」、あるいは「傷(醜状痕)」の場合は医師の判断で決まります。痛みなどの神経障害、関節の動きの障害などの機能障害は6か月を経過してからですが、指の欠損などの器質的障害は6か月を待たなくても請求できます。
■自賠責では認定は、顔面醜状(表面のキズ、アザなど)、眼瞼欠損、運動障害の認定以外はすべて書面審査で行われます。
※書面での立証が最も重要です。後遺障害診断書の書き方で、認定されたり、されなかったりすることがあります。後遺障害診断書はできるだけ具体的に記入してもらうことが大切です。
※被害者請求で後遺障害等級認定の申請をする際は、任意保険会社への損害賠償請求時に必要となりますので、「後遺障害診断書」のコピーを撮っておきます。
2.「後遺障害診断書」等の内容を読み取り、自賠責後遺障害別等級表、認定事例を参照しながら等級認定の可能性を検討します
■「事故状況と後遺障害との間に関連性があること」が必要です。
■「病院での診察・治療を定期的にしっかり行えており、各種症状が消失することなく一貫して継続していること」が必要です。
3.ご自分で判断した等級に該当することを証明するために必要な対策を講じます
■認定にあったって必要な「症状の裏づけとなる医学的所見」 (「MRIやレントゲンなどの画像所見や各種検査結果」が必要です。
■「後遺傷害診断書」を点検し、認定される又は等級認定のために必要と思う箇所があれば、医師に訂正、追記をお願いすることが重要です。
■診断書の内容が症状とかけ離れているときは、権威ある病院で再度検査を受けることも検討します。お医者さんを選ぶことも大切です。
4.加害者側の加入している「自賠責保険会社」に連絡し、申請に必要な書類一式を送ってもらいます
※ 「交通事故証明書」に加害者側の加入している自賠責保険会社が記載されています。
※それまで任意保険一括対応で任意保険会社が治療費を負担している場合は、その「任意保険会社」に連絡し、申請に必要な書類一式と、「交通事故証明書」「診断書」「診療報酬明細書」の写しを送ってもらいます。その際、「原本と相違ない」旨の押印も忘れないようお願いしておきます。
5.申請に必要な書類に記入するなどします
①「交通事故証明書」を取得します
■まだ取得していない場合は、警察署or交番で「交通事故証明書交付申請書」をもらい、事故地を管轄する各都道府県の「自動車安全運転センター」で発行してもらいます。
■「交通事故証明書交付申請書」(振替用紙)に記入し、郵便局から申し込めば一週間以内に郵送されてきます(一通540円)
※ 「交通事故証明書」は、事故の当事者または証明書の交付を受けることについて正当な利益を有する者(親族など)であれば申請をすることができます。
※ 予備を含め2~3通取得しておきます。取得したらコピーをとっておきましょう。
②「請求用の書類」を取り寄せます
■「交通事故証明書」の「自賠責保険関係の欄」で相手方の自賠責保険会社と番号を確認し、該当する保険会社に被害者請求する旨を伝え、送付してもらいます。
③「自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書」を記入、作成します
■加害者情報については、「交通事故証明書」を参照し、記入します。
④「事故発生状況報告書」を記入・作成します
■事故時の運転速度、道路状況、道路幅、信号・標識の有無、事故に至った経緯を記入します。
「事故事故発生状況略図」
■記入例を参考に、信号、一時停止、一方通行、交差点、直線道路、カーブ、センターライン、横断歩道が分かるように図示します。
■事故当時者(日と、車、オートバイ、自転車)の位置関係が分かるように、事故車の衝突位置、道路端からの距離を記入します。
⑤「診断書」を取得します(死亡事故の場合は死体検案書又は死亡診断書)
⑥診療報酬明細書(調剤報酬明細書)」を取得します
■支払いを支払いを証明するために領収書と「診療報酬明細書(調剤報酬明細書)」が必要です。
※ 健康保険を使って治療している場合は、病院は「診療報酬明細書」を発行しませんので「診断書」のみを作成してもらい「診療報酬明細書不添付報告書」と「領収書の原本」を付けて送付します。
⑫「後遺障害診断書」(症状固定時に残っている症状を記載した診断書)
⑬レントゲン写真等損害を立証する書類(事故の内容により添付)
⑭自分に有利な医証(カルテ、負傷状況の写真、専門医の意見書など)を必要に応じ取得します。
⑮自分に不利な事情があればそれを補うための説明書を必要に応じ作成します。
⑨「休業損害証明書」(前年分の源泉徴収票添付)を勤務先で作成してもらいます(事故の内容により添付)
■自営業等の場合は「確定申告書控」を添付します。または、所得額の記載されている納税証明書、課税証明書を取得します。
■主婦の場合は家族全員が記載された住民票を取得し添付します。
⑩「印鑑証明書」を取得します(保険金の請求に必要です。保険金の受領者が請求者本人であることの証明)
⑪(被害者が未成年でその親権者が請求する場合)未成年者の「住民票または戸籍抄本」を取得します。
6.被害者が、自身で直接、自賠責保険会社(損害料率算出機構で審査)に、「被害者請求」で後遺障害等級認定の申請をする旨の送付書をつけて、「後遺障害の等級認定請求」を郵送で提出します
7.「損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)」における審査を経て、認定結果が出ます
■認定結果は「直接被害者に通知」されます。
■郵送から結果の通知まで平均1.5~2か月です。内容によっては、3~4か月かかることもあります。
8.後遺障害等級が認定されると、その等級に応じて「逸失利益」及び「後遺傷害慰謝料」を請求することができます
9.加害者側が任意保険に入っている場合は
■ご自分で、弁護士基準で、逸失利益及び後遺症慰謝料、過失相殺料などを計算し加害者側の入っている「任意保険会社に請求」します
10.加害者側の入っている任意保険会社と合意すると、通常、任意保険会社が免責証書(示談書)を用意します。
申込み・問い合わせ先
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