遺 言 書
遺言者〇〇〇〇は、以下のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を、長男〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)と次男〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)に、各2分の1の持ち分割合による共有として相続させる。
記
1. 土地
所在 〇〇市〇〇町〇〇丁目
地番 〇〇番〇〇
地目 宅地
地積 〇〇〇.〇〇平方メートル
2. 建物
所在 〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番地〇〇
家屋番号 〇〇番〇〇
種類 居宅
構造 木造瓦葺二階建
床面積 一階 〇〇.〇〇平方メートル
二階 〇〇.〇〇平方メートル
第2条 遺言者は、その他前条記載の財産を除く、遺言者の有する一切の財産を、長男〇〇〇〇に相続させる。
第3条 遺言者は、遺言者の三男〇〇〇〇(昭和△△年△△月△日生)を、以下の廃除事由となる具体的事実に記載のとおり、遺言者に重大な侮辱を加え、その他の著しい非行を行ったことにより、相続人から廃除する。
(※ 廃除事由となる具体的事実を記載します)
第3条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として長男〇〇〇〇を指定する。
第4条 遺言執行者は、家庭裁判所に対する廃除請求を遅滞なく行ってください。
令和△年△△月△△日
(遺言者住所)
遺言者 〇〇〇〇 ㊞
ここが遺言(相続)のポイント
□ 審判では相続人廃除は簡単には認めらない情況があります。遺言書には、必ずしも相続人廃除の理由の記載を要するものではありませんが、相続人廃除が客観的に正当とみなされるよう、廃除理由を要約して具体的に書く必要があります。
□ 遺言書の廃除の理由の記載は、暴力を伴う虐待でケガをして病院で治療を受けたこと、暴力や侮辱を受けた年月日、暴力や侮辱の詳しい内容、その事実を知っている人の住所・氏名など具体的に書くことをおすすめします。
付言事項に遺言をした理由を書き加えることで相続時の混乱を予防することに役立つことがが期待できます。
遺言書の本文や付言事項には相続人廃除の理由を書きたくないとき、または、家庭裁判所における審判に備えて相続人廃除の理由を詳細に書く必要があるときは、別途、「宣誓供述書」を作成することができます。
「宣誓供述書」を自分で書くことが難しい場合は、公証役場で、話した内容を「事実実験公正証書」として作成してもらうことができます。
□ 遺言で廃除原因についての意思表示をしていない場合は家庭裁判所で相続人廃除は認められません。ただし、遺言は有効です。
□ 相続人廃除は被相続人の意思でいつでも取り消すことができます。理由は一切問われません。
「相続人の廃除の取り消し」は、家庭裁判所に「相続人廃除取消請求の申し立て」を行います。
生前に家庭裁判所に申し立て「相続人の廃除」をしていた(生前廃除)が、事情が変わったので、遺言で相続人に戻すこともできます。
生前廃除取消の遺言をする場合は、取り消しが遺言者の真意であることが分かるよう、理由を書いておくことが望ましいと言われています。
遺言で相続人から廃除したが、事情が変わったので、新たな遺言で廃除を取り消すものは、相続人の廃除の取り消しではなく、遺言の撤回です。
□ 相続人から廃除した者に子がいる場合は、その子から代襲相続人として遺留分侵害額請求をうける場合があります。注意が必要です。
遺言執行手続きにおいて、相続人以外の関係者(例:金融機関の担当者)が読む機会が多い公正証書遺言に廃除事由となる具体的事実を詳細に記載することは、結果的に遺言者や廃除される推定相続人、その他関係者の名誉やプライバシーを侵害する恐れを生じさせることになることから、必ずしも適当とは言えない。そこで、遺言による推定相続人の廃除を行う場合、公正証書遺言では「被相続人を虐待した」、「被相続人に対し重大な侮辱を加えた」等の抽象的な記載にとどめ、廃除事由に該当する具体的事実については宣誓認証(公証58条の2)等を活用して記録に残す等の方法を検討すべきである。
(出典:NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク( 2017)『改訂 遺言条項例300&ケース別文例集』日本加除出版.87ー88頁)
本文例はあくまでも一例です。遺言者のご希望はもとより、推定相続人や遺贈したい人の状況、相続財産の状況などによって遺言文は違ってきます。
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